大阪府立泉尾工業高等学校が優勝
第23回全国高等学校ファッションデザイン選手権大会「ファッション甲子園2024」の最終審査会と表彰式が8月25日、青森県弘前市の弘前文化センター大ホールで行われ、大阪府立泉尾工業高等学校が優勝した。ファッション甲子園は、高校生を対象としたファッションデザインコンテスト。全国から34都道府県、95校、1,147チームが参加し、1,929点の応募作品の中から20都道府県、27校、34チームが選ばれた。各チームは自らデザイン・制作した衣装を披露し、ファッションショー形式で最終審査に挑んだ。
優勝作品「地球(生命の誕生)」
優勝した大阪府立泉尾工業高等学校の作品「地球(生命の誕生)」は、地球の誕生時の自然の力強さと生命の誕生を表現したデザインが審査員から高く評価された。チュールや造花、タフティングを用いたデザインで、自然のみずみずしさを再現している。チームは、「本当に嬉しくて泣きそうです。昨年は自分の思い通りに表現できず、優勝を逃しましたが、今年は再び出場し、優勝することができました」と喜びを語った。
準優勝・第3位の作品
準優勝は京都府の福知山淑徳高等学校の作品「Nostalgia」で、高度成長期に建設された集合住宅の解体に対する懐かしさと切なさをテーマにしている。個々の顔を一針一針丁寧に表現し、建設当時の雰囲気をデザインに落とし込んだ点が評価された。第3位には愛媛県立松山工業高等学校の作品「花鳥風月」が選ばれ、花札をモチーフに四季折々の花々や猪鹿蝶を立体的に表現した。
特別賞の受賞作品
「海外ファッションブランド協会賞」は、岡山県立岡山南高等学校の「欲望インバウンド」が受賞した。百個以上の立体三角形を用いた独創的なデザインが評価された。
審査員特別賞として、「原由美子賞」は青森県立弘前実業高等学校の「PEPER LESS」、「天津憂賞」は大阪府の英風高等学校の「Happy human society!!」が選ばれた。「青木規子賞」は市立札幌平岸高等学校の「Ribborn」、ゲスト審査員特別賞「井野将之賞」は広島市立基町高等学校の「かさね」、キラリ賞は岐阜県アンファッションカレッジの「PURE」に決定した。
審査員の総評
審査員の原由美子さんは、「今回の作品はどれも個性が豊かで完成度が高く、特に素材に対する細やかな手作業が際立っていました。審査は非常に難航しましたが、各賞が真剣な議論の末に決定されました。この大会で得た経験が、今後のファッションに大きな影響を与えることを期待しています」と総評した。
また、原さんは「ペーパーレスの時代に、紙の重要性を見直した作品であり、クラシックな洋服の形に仕上げた点が評価されました」と、「原由美子賞」を受賞した作品についてもコメントした。天津憂さんは、「『Happy human society!!』は、多色使いを巧みにまとめたセンスが光る作品で、次回作も楽しみにしています」と述べた。井野将之さんも、「『かさね』の素材とデザインの調和が素晴らしく、平和への思いが込められた作品として評価しました」とコメントしている。
特別審査員である海外ファッションブランド協会の三木均会長は、「海外ファッションブランド協会賞」の作品について、「世界を代表するブランドの社長たちと議論を重ねて決定しました。時代性の表現、創造性、そしてユニークさの3つの観点から選びました。素晴らしい作品です」と評価した。
ゲストステージの特別企画
審査の合間には、特別企画としてゲストステージが行われ、青森県出身の衣装デザイナー・成田あやのさんが自身の衣装展を披露した。また、タレントで今回のファッション甲子園ナビゲーターを務めた王林さんが登場し、会場を盛り上げた。