「第57回モード・イン・フランス(Mode in France)展2025年春夏コレクション」が開催

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「第57回モード・イン・フランス(Mode in France)展2025年春夏コレクション」が2024年7月23日から7月25日の3日間、東京・渋谷のEBiS303で開催された。パリオリンピック直前の開催となった今回、会場構成を変更し、内部の装飾も一新。仕切りを取り除くことで、開放的な空間にし、ブランド紹介のパネルなどもブルーに変更した。また、新進気鋭の日本初上陸ブランドを集めた特別展示ゾーン「ミフ・シェイカー(MIF SHAKER)」が新設された。前回2月展に続き、パリのショールーム「タレント・トゥー・トレンド(TALENT TO TREND)」も参加した。ハンドマッサージなどの体験型イベントも行われた。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)

2日目の24日には会見が行われ、フランス婦人プレタポルテ連盟(Fédération Française du Prêt à Porter Féminin)のインターナショナル・プロジェクト・ディレクターであるアンヌ=ロール・ドゥリュゲさんは、「来場者からは新しい『モード・イン・フランス』と出展ブランドのセレクションについて非常にポジティブな意見をいただいています。フランスのファッションは日本で欠かせない存在であり続けると思います」と話した。

モード・イン・フランス展は、フランスの最新コレクションを日本のバイヤーに紹介する合同展示会。32ブランドが出展し、レディースのプレタポルテや、スカーフ、ストール、帽子、靴などの服飾雑貨の2025年春夏コレクションを紹介した。

会場の印象を変えた今回。日本市場に対応しながら、ハイクオリティな製品や日本未上陸のブランドを意識的に集める狙いから、新しいプログラム「ミフ・シェイカー」をスタートした。「ミフ・シェイカー」は、ブランドが来日せず、商業的な取り引きを連盟がサポートするプログラム。日本の専門家、ショールーム「タレント・トゥー・トレンド」、フランス婦人プレタポルテ連盟の3者による選抜委員会で協議し、日本市場に受け入れられるかどうかを考慮して選定した5ブランドを展示した。また、前回に続きパリのショールーム「タレント・トゥー・トレンド」も参加。10ブランドを紹介した。

更に、今回の「モード・イン・フランス」では、「体験」を重視した。ヴィンテージやクラフトマンシップを体験として、見てもらうため、「ミニミー・パリ(MINIME PARIS)」は帽子のカスタマイズの過程を見せるデモンストレーションを行った。また、ソフィアフィトセラピーカレッジの協力によるハンドマッサージのコーナーや、渋谷の「ル・コントワール」との協力によるワインとチーズのテイスティングコーナーも設置し、来場者がフランスの雰囲気を体験できるようにした。

会見でアンヌ=ロール・ドゥリュゲさんは、2023年のフランスの服飾マーケットについて「市場規模は前年度を維持し、大きな変化はありませんでしたが、アジア向けの輸出は4パーセント、日本向けの輸出は7パーセント増加しました」と述べた。

円安については「同じ予算でも購入数量が減るため、影響はありますが、オリンピックのポジティブな影響や商品の質の良さにより、引き続きご注文をいただけると期待しています。また、観光客が増えており、新しい発注が期待されます。一見すると一般観光客との関連は薄いようですが、外国人観光客に高価な商品が売れており、安心して発注に来るバイヤーもいます。結局のところ、良い商品は売れ続けると確信しています。美しい商品を作れば、大丈夫だと思っています」と語った。

また、「ミフ・シェイカーやタレント・トゥー・トレンドのコラボレーションは今後も続ける予定です。新しいブランドを呼び込みながら支援し、発展させていきます。今回のミフ・シェイカーは初の試みですが、若いブランドを経済的に援助し、商業的なフォローアップを行うことが有益だと考えています」と話した。

ミニミー・パリ(MINIME PARIS)は、パリのアトリエ兼店舗で古着やヴィンテージ素材をアップサイクルし、デニムジャケットやバッグなどをカスタムして一点物として制作・販売している。オーダーに応じてカスタムを行っており、ポップとラグジュアリーを融合した世界観が特徴になっている。フランス国内では、パリのアトリエのほか、サントロペとカンヌにも店舗がある。また、ミラノ、ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミなど、アメリカとイタリアを中心に海外でも展開している。

日本では、コロナ以前には伊勢丹で販売していたが、現在は展開がないため、日本マーケットを体験することを目的に出展した。今回は、古着のブレザーをリメイクし、ヴィンテージの財布とオートクチュールメゾンのスカーフをアップサイクルして作ったジャケット、手で刺しゅうを施し、ブリーチもデザイナーが行ったデニムジャケットなどを紹介した。また、ヴィンテージのTシャツに刺しゅうを施し、その後バッグに貼り付けたアイテムや、アクセサリーのラインも展示した。

レッド・レジェンド(RED LEGEND)は、南フランスのマルセイユにアトリエを持つブランドで、デニムを得意としている。フランスとヨーロッパで地位を確立しているが、日本のデニムにも深い興味を持っており、日本市場への進出を目指してモード・イン・フランスに参加した。

今回は、ミフ・シェイカーエリアで、洗練されたカジュアルスタイルを紹介。カジュアルなデニムボトムスにキルティングトップスを組み合わせなどを披露した。また、フランスの海軍の船乗りが着用していた伝統的なストライプ柄のシャツ「マリニエール(Marinière)」も展示したが、軽めの素材を使い、女性らしい美しいシルエットを追求したデザインが人気だという。

ドゥ・ボキ(DOU BOCHI)は、「エルメス(Hermès)」や「ランバン(Lanvin)」でデザイナーを務めたエリック・ベルジュールが手がけるブランド。ベルジュール自身が海で着トップスを作ったことがきっかけで、ブランドを立ち上げた。エレガントで洗練されたドレスが特徴。プロヴァンス地方のアルルにある縫製工場で作られており、昔ながらの製法と現代的な技術を融合させている。非常に着やすく、リボンだけで絞ったり、そのままオーバーサイズで着たりできるように工夫されていて、海に行く際にも簡単に着られるようにデザインされている。

モード・イン・フランスでは、「タレント・トゥー・トレンド」で出展。女性のシルエットを美しく見せることを重視し、ボタンやファスナーを使わず、リボンだけで止めたり、ウエストを絞ったりすることで、リネン素材を生かしたドレスなどを展示した。また、フランスの革を使ったアイテムも展開しており、種をまくときのカバンからインスピレーションを受けたバッグも紹介された。

「タレント・トゥー・トレンド」に参加したグッド・ピープル(GOOD PEOPLE)は、8年前にスタートしたブランド。デザイナーはパリ出身のフランス人だが、商品はマダガスカルで作られており、すべて植物素材を使用している。アトリエでは繊維や色などのパーツを全てデザインしているため、バイヤーが調整の仕方や色味を選ぶことができる。

展示会では、ブランドの象徴であるバオバブの木と海の中のサンゴをイメージしたモチーフを使用したバッグなどを紹介した。また、手持ち部分やチェーンはデザイナー自身がデザインし、インドで職人がハンダごてで溶かしてハンドメイドで作っているという。デザイナーは「現在、80店舗で取り扱いがあり、日本でも販売されています。パリでプルミエール・クラスに出展した際、トゥモローランドなど日本のバイヤーに興味を持っていただけたので、東京でもぜひ合同展示会に出展したいと思い参加しました。感触はとても良く、オーダーも入りました」と話した。

モワモン(MOISMONT)は、企画をフランスで行い、生産はインドで行っている。元々スカーフブランドとしてスタートしたが、現在はバッグやライフスタイルグッズも取り扱っている。子供からおばあちゃんまで年齢を問わず使える商品を提供しており、スカーフのサイズやカラーパレットが豊富に揃っている。

コロナ以前は日本でも大規模にビジネスを展開していたが、パンデミックの影響で一時的に停滞。昨年から日本市場に再上陸した。今シーズンからは日本市場に適した小ぶりなバッグも登場し、軽くて持ちやすい点が人気となっている。また、ステッチワークが特徴的なポーチも日本で人気があり、プレゼント需要にも対応している。

同ブランドでは、「外出が増えるとともにスカーフへの関心も戻ってきました。モード・イン・フランスでも反応は非常に良く、多くの人に興味を持ってもらえました。百貨店でのポップアップの話もあり、問い合わせも増えています」としている。

初出展のエミール・エ・イダ(EMILE ET IDA)は、子供服から始まり、2017年に婦人服を展開したブランド。特にデリケートでなければならない子供服の経験を活かし、「お母さん」も着られるような婦人服を作っている。詩的で絵画的なデザインが特徴で、素材はオーガニックコットンや麻など天然素材を使用している。デザインは全てハンドメイドで、昔風でもあり現代風でもあるデザインを心掛けているという。

製品の一部はインドで製造しており、SDGsの観点からインドの人々の支援活動も行っている。販路はセレクトショップが中心で、アジアとアメリカが主な取引先。パリではギャラリー・ラファイエットやボン・マルシェなどで取り扱われている。日本市場での展開を広げるため、今回モード・イン・フランスに出展した。

リンキング・ドッツ(LINKING DOTZ)は、動物性素材を一切使用せず、ビーガン素材を採用したローファーや昨年から始めた新しいデザインのポインテッドシューズ、ミュールなどを展示した。取り外し可能な部分があり、自分の好きなアクセサリーを付けられるデザインや、ベルクロを使用して冬と夏の両方に対応できるデザインが特徴になっている。ポインテッドシューズの色はブラジルの有名なピンクの花からインスピレーションを受けており、「イパネマの娘」というサンバの歌詞が書かれている。ミュールはブラジルの天然素材を使用しており、後ろには取り外し可能なパーツが付いている。

また、グッド・ピープルとコラボレーションしたカバンやバッグも制作している。そのほか、エコに配慮し、シューズボックスにはリサイクルされたプラスチック素材を使用。ブラジルの雇用を支援するため、小さな部品を手作りで依頼しているという

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