2020年に逝去したファッションデザイナー髙田賢三の没後初となる大規模個展「髙田賢三 夢をかける」が、2024年7月6日から9月16日まで東京都新宿区の東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている。展覧会に先立ち、7月5日にはプレスプレビューが行われた。
幼少期から晩年まで、創作の軌跡を辿る
展覧会では、幼少期から晩年に至る髙田の人生と創作の軌跡を紹介している。衣装展示を中心に、絵画やデザイン画、創作の源泉となった資料を展示。特に1970年代の初期作品や1980年代の作品に焦点を当て、髙田の創作の変遷を明らかにしている。
髙田賢三の歩みと業績
髙田賢三は1958年に文化服装学院に入学し、1960年に「装苑賞」を受賞した。1964年にフランスへ渡り、1970年に自身のブランド「ケンゾー(KENZO)」を設立。その自由で華やかなデザインは瞬く間に人気を集め、世界を代表するデザイナーとして活躍した。1999年にケンゾーを退いた後も、アテネオリンピック日本選手団の公式服装デザインやオペラ『蝶々夫人』の衣装制作など、多岐にわたる活動を続けた。
注目の展示と映像資料
展覧会前半では、1970年代の「アンチクチュール」や「ペザント・ルック」などの代表作が並ぶ。後半では、民族衣装をモチーフにしたフォークロア作品や、1990年のショー「30ansトランタン」のダイジェスト映像を公開している。
また、1982年秋冬のショーで発表されたウェディングドレスも注目の一つだ。このドレスは20年間集めたリボンを使用して制作され、1999年には山口小夜子が着用し話題となった。本展ではドレスと制作資料が展示され、髙田の創作への情熱を伝えている。
ケンゾーブランドではなく、髙田賢三という人物に焦点
展覧会を企画した福島直さんはプレスプレビューで、「ケンゾーブランドではなく、髙田賢三という人物に焦点を当てています。衣装展示や資料を通じて、髙田賢三さんの人生と創作の軌跡を感じていただければ幸いです」と述べた。
髙田賢三 略歴
1939年、兵庫県姫路市生まれ。文化服装学院に入学し、1960年に若手デザイナーの登竜門とされる「装苑賞」(第8回)を受賞。渡仏後、1970年にパリで自らのブランドを立ち上げた。その自由で華やかなデザインは瞬く間に人気を集め、世界を代表するトップデザイナーとして活躍した。1999年にケンゾー(KENZO)ブランドを退いた後も、企業とのコラボレーションやオペラ衣装の制作、新たなブランドの立ち上げなど、精力的に活動を続けた。2020年、81歳で逝去。
主な受賞歴
1984年 フランス芸術文化勲章(シュヴァリエ)
1985年 第3回毎日ファッション大賞
1998年 国家功労賞芸術文化勲章(コマンドゥール)
1999年 紫綬褒章
2016年 レジオンドヌール勲章(シュヴァリエ)ほか受賞多数