榎本光希がデザインするヴェイン（VEIN）は2025年春夏コレクションをランウェイショー形式で発表した。Photos: Courtesy of VEIN
同ブランドはリリースで今回のコレクションについて次のように書いている。
「一回きりの現象」を意味する「アウラ(aura)」は、24SSで標榜されて以降、VEINのコンセプトを表す重要なワードとして息づいてきました。これにより、偶発的な着こなしや成り行きによるスタイルがブランドの魅力となり、「いま・ここで、充分、魅力的だ」と伝えるブランドの本音は、借り物の正しさにとらわれず、静かに楽観主義を称えてきました。
VEINのコレクションは、構造表現主義に着想を得て、新しいデザインや驚くべきディテールを提示するよりも、現代生活に共存しうる「自由」「快適」、そして「ひとつまみのユーモア」に価値を見出しています。デザイナーは一貫して既存の概念を疑い、衣服の構造に軽やかにアプローチすることで、新しい発見を試みています。
これらの視座の先におかれた25SSでは、デザイナー自身の身近な出来事や現象が着想源となりました。たとえば、デザイナーが手に取ったヴィンテージカメラは、日常の瞬間や家族を撮影する大役を担っています。写真の上手さよりも、その瞬間が残ることへの個人的な欲望は、記憶や思い出、そしてそれらを結びつける感情の関係性を問いかけます。
デザイナーの息子が遊びながら着たVEINのラウンジパンツは、身体を大きく包み込み、思いがけない造形を生み出しました。この造形は、ジャケットのビッグフラップや象徴的なボートネックのカットラインと精神を共有しています。娘が作り、デザイナーに贈った「VEIN」のピンズはメタルに置き換えられても、キャンディーのような愛らしさを保ち、ショーではデザイナーが撮影した写真がコレクションに取り入れられています。
クレイモデリングされた有機的なカーブを描くオリジナルソールのシューズは、コレクションの随所に見られる立体パターンによるフォルムと共鳴しています。また、シャツの前立てとポケットだけが裏返ることで生まれるニュアンスは、サテンや朱子織デニムの素材選択と呼応し、シルエットとディテールの意外な調和を生み出しています。ポケットの再配置はミリタリースタイルの再考に繋がり、ティファニーブルーはショーツを中心としたコレクションに涼しさをもたらし、デザイナーの家族のライフチェンジを象徴しています。
写真は、かつての瞬間を明らかにするだけでなく、写真が内包する人と人、人とモノの関係性が、被写体の存在を強力にし、撮影者の影が友情や愛情、信頼を蘇らせることがあります。これが「Time Picture(時の描写)」のコンセプトであり、平凡な行為の中にある未来や過去へのコネクトを含んだアウラを捉えるものです。さらに、25SSはブランドのショールーム「case」で発表される最後のコレクションであることも注目すべきポイントです。
ヴェイン（VEIN）2025年春夏コレクションLOOK
VEIN SS2025 RUNWAY SHOW
Designer Koki Enomoto
Stylist Hayato Takada
Art Director Tatsuya Yamaguchi
Hair Artist Mikio Aizawa
Make-up Artist Suzuki
Casting Director Kosuke Kuroyanagi at VOLO
Movie Genki Nishikawa at mild inc.
Show film Music Takuma Amakasu
Show Director Michio Hoshina at PLANKTON
Lighting Planner Ryo Kawamura at art brain company
Sound Planner Hiroki Yoshimi at art brain company
Runway Photo Koji Shimamura
PR Keitaro Nagasaka at Sakas PR
