世界から多くのバイヤーが来場する、世界最大の靴国際見本市ミカム。日本でもよく知られている。第88回ミカム(MICAM)2020年春夏コレクションには、経済産業省が主催するプロジェクト「ハ・キ・モ・ノ シューズフロムジャパン(HA KI MO NO, Shoes from Japan)」も出展した。Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)
「ハ・キ・モ・ノ シューズフロムジャパン」は、日本の革製履物(レザーシューズ)の海外における販路の開拓と日本のレザーシューズ製造における技術の高さ・商品の品質の高さの発信と認知獲得を目的として行われる事業。今回は日本のレザーシューズメーカー11社が参加した。ラグジュアリーカテゴリーのホール1の入り口近くに、日本らしさを表現するために、床面のタイルと什器を日本伝統の格子柄で統一し、花を飾るなど、ブース全体の一体感を演出したジャパンブースを設置。装飾を可能な限り排し、主役であるレザーシューズが最も美しく見えるように工夫した、シンプルなデザインのブースにシューズを展示し、ヨーロッパやロシアなど、海外のバイヤーに、メンズやレディースシューズの2020年春夏コレクションをアピールした。
今回、経済産業省から「ハ・キ・モ・ノ シューズフロムジャパン」事業を委託された伊藤忠ファッションシステムは「最終的にはまだ増える可能性があるが、今回は風雅心(FUGASHIN)、足袋型ウォーキングシューズのラフィート(LAFEET)、リーガル(REGAL)、キョウコ ササゲ(Kyoko sasage)など出展ブランドの半数近くが、イタリアをはじめアメリカ、カナダ、アジアなど海外からオーダーがあったなど全体としては順調だった。日本の丁寧なもの作りや繊細さ、デザイン性の高さなどが評価された」としている。
また、リーガルは「ホール5からメンズのクラシックゾーン(ラグジュアリーカテゴリー)に移動したことで、価格を見て驚かれるようなことも無くなったし、いろいろなバイヤーに見てもらうことが出来るようになった」とするとともに、「ミカムと言えば誰にでも通じる。厳しい状況が続き、展示会が少なくなった中でミカムが世界で1番の靴国際見本市であることに変わりはない。ミカムには日本の有力百貨店のバイヤーが来場しているので、ブランドをアピールすることもできる」と評価した。
キョウコ ササゲのデザイナー捧恭子さんは「ミカムは3回目。過去2回はオーダーがありませんでしたが、ミカムに出展し、海外のバイヤーやプレスに見てもらうことが出来たおかげで、2月のミカムで出した靴がイタリアのファッション誌『Collezioni Accessori』に掲載されました。今回はイタリアからのオーダーもありました。これからも日本の伝統的デザインや技術を活かした靴を作り、海外での展開を広げていきたい」という。
服が売れないと言われる中でシューズや雑貨はこれまで以上に重要になっている。世界的に展示会が縮小している中で、存在感を高めているミカム。50周年を迎えたミカムが次の50年に向けてどう変わっていくのかも注目されそうだ。
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