高級服地ブランドのドーメル(DORMEUIL)は都内で、新たに開発したファブリック、トニックウール(Tonik Wool)の発表記者会見を開催した。当日はパリからドミニク・ドーメルCEO氏が来日。また、スペシャルゲストとして宇宙飛行士の毛利衛さんが登場した。
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ドーメルは1842年パリ創業された高級服地ブランド。トニックウールは環境保護へのプライオリティとトレーサビリティーが保証された革新的なファブリック。ウールとモヘアをブレンドしたドーメルのトニックは1957年にデビュー。トニックで作ったスーツは旅行で着てもシワ1つ残らない無敵のウエアと呼ばれていたが、新たに開発したトニックウールはモヘアに代わって、クリンプが多く膨らみがあり、服地に仕上げると通気性と保温性、伸縮性を併せ持つ、高品質なパタゴニアウールを採用したもの。トニックよりも柔らかくなめらかで、目付295グラムとはるかに軽くなった。超強撚糸(ねんし)とナチュラルストレッチ性の縦糸によって防シワ効果があり、夏の旅行や長時間のフライトにも理想的など、現代人のライフスタイルにふさわしい、着心地の良さとしわを回復する力を兼ね備えている。
また、トニックウールは、すべてトレースできるパタゴニア産ウールを原料にしていて、ブロックチェーンテクノロジーによって特定、認証された各生産段階のデータを保護し、共有していくことで、生地ラベルに織られたQRコードを読み込むと、供給経路全体を確認することができる。
来賓であるアルゼンチン共和国のアラン・ベロー特命全権大使とともに会見に出席した、ドミニク・ドーメルCEOは「ドーメルは常にメゾンの歴史とアーカイブを大切にしてきたが、技術革新を企業戦略の優先事項としてきた。トニックは、その光沢とシワになりにくさでメンズファッション業界に革命をもたらした。トニックウールが当時と同じようなインパクトを現在、未来のファッション界に与えることを期待している」とした上で「ファッション産業は石油産業に次いで、世界で最も環境を汚染する産業の1つ。トニックウールの発表によって、行動を起こし、エシカルな方針を進めようとする私たちの姿勢を示したい」などと話した。
また、スペシャルゲストとして登場した毛利さんは「宇宙から見た生命のつながり」をテーマに、スピーチを行った。
Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)