オンワードホールディングスは4月2日、東京・渋谷に新業態施設「カシヤマ ダイカンヤマ(KASHIYAMA DAIKANYAMA)」をオープンした。東京都渋谷区代官山町14の18。地下1階、地上5階の全6フロア。延床面積約2,465平方メートル。カフェ、ギャラリー(イベントスペース)、マーケット(ファッションフロア)、レストラン、バーなどを展開している。オープン前日の1日にオープニングレセプションとパーティーを開催した。Text & Photo : Shinichi Higuchi(樋口真一)
90年以上にわたって日本のファッション産業を牽引(けんいん)し、若手クリエーターの発掘と育成、国内外の産地とのコラボレーション、リゾート施設や飲食店の経営など、幅広い事業を手がけてきたオンワード。「カシヤマ ダイカンヤマ」は、これまでのオンワードの歩みを発展させる、新たな一歩となるもの。
オンワードホールディングス廣内武会長がプロジェクトリーダーとなり、建物と内装デザインは佐藤オオキ氏が率いるデザインオフィスnendoと空間デザインオフィス onndoが監修。飲食コンテンツはSUGALABOの須賀洋介氏、ファッション&カルチャーはオープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)の創立者でありケンゾー(KENZO)のクリエイティブディレクターを務めるキャロル・リム(Carol Lim)さんとウンベルト・レオン(Humberto Leon)さんが監修した。
大小のハコが重なり合う建物には外光が豊かに差し込み、内外をつなぐ素材と空間の重なりによって、代官山に新たに生まれた丘を散策するように、施設全体を体感することができる「カシヤマ ダイカンヤマ」。地下1階はリラックスできるカフェ。SUGALABOのシェフパティシエ成田一世氏監修による焼き菓子とスウィーツ、紅茶などのドリンク、サラダやプレート、代官山カツサンドなどのフードを提供している。1階のギャラリーは、カルチャーやアートを発信するイベントスペース。インスタレーションや展示、トークイベントやセミナー、ワークショップなどのイベントを定期的に開催する。新しいキューレーション型コンセプトショップである2階と3階では、オリジナルコレクションと厳選されたデザイナーズブランドや、国内外のクリエーター、アーティストとのコラボレーション商品を展開。日本の若手ブランドではアキコアオキを販売している。
また、4階のレストラン「コトー(COTEAU)」では、SUGALABOの須賀洋介氏が監修した次世代フレンチを展開。食事は季節ごとに異なるプリフィクスコース(アミューズ、前菜2種、メイン料理、デザート、ハーブティー)での提供となっていて、ペアリングメニューを選ぶことができる。ランチ開始時期未定。5階にあるバーでは、各種カクテル、ビール、ワイン、ウイスキー、野菜チップス、チーズ、プロシュート、チョコレート、カツサンドなど、親しみのあるメニューのほか、世界中から集めた珍しいジンを数多く揃(そろ)えていて、レストランの前後にアペリティフやディジェスティフとしても利用出来る。
会見で廣内会長は「代官山は大変縁のある土地。33年前、私がゴルチエ事業部長だったときに路面店を作ったことは今も鮮明に覚えている。それ以来、2店目となる店を代官山に創り上げられたことを幸せに思っている。ビルを建てるに当たり、8年前、青山・スパイラルガーデンで行われた平田暁夫さんの展覧会『ヒラタノボウシ 平田暁夫帽子展』を手がけた佐藤さんにお願いし、服が売れなくなっている中で、服につなげるひとつのモチベーションとして、カフェやレストランなども提案した。この土地に馴染み、外国の人たちにも評価してもらえるような、すばらしい館(やかた)に育てていきたいと思っている」と挨拶。
佐藤氏は「会長がプロジェクトリーダーというのはあまりないが、月2回から3回ミーティングを行い、大きなことから手すりの形やタイル1枚のつや感まで、1つ1つ議論しながら進めていった。1番大きな決断は建物の形(大きさ)。巨大なビルが入るスペースにあえて小さい建物を作ることで、地元の人たちに愛されるようにした」。須賀氏は「建物のデザインやファッションに負けないようにこれからも努力したい」と話した。
また、キャロル・リムさんは「ここでクリエイティブな才能をサポートしたいと思っている。特に、若い人のクリエーションを発信していきたいと思っている」。ウンベルト・レオンさんは「新進気鋭のデザイナーや日本の若手デザイナーを特にフォーカスしながら、サポートしていきたい。代官山を歩くとアートやカルチャーを感じるので、カルチャーにも力を入れたい」と強調した。
パリのジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)さんからも「9月に日本に行くときには必ず訪れたい」というメッセージが届いた。