2018年(第36回)毎日ファッション大賞の表彰式が11月22日、東京・渋谷のEBis303で行われ、トーガ(TOGA)の古田泰子さん、アキコアオキ(AKIKO AOKI)の青木明子さんらが登場した。毎日ファッション大賞は毎日新聞創刊110年を記念して1983年にスタートしたもの。年間を通してファッションという文化活動の中で最も優れた成果を上げたデザイナーや経営者、コーディネーター、企業、団体を選び、表彰するほか、優れた創作活動をした新人デザイナーやファッションデザイナー以外でファッション界に功績を残した人、ファッション文化に貢献し、社会的にインパクトを与えた人や企業などを表彰している。
35回目を迎えた今回はトーガのデザイナーの古田泰子さんが大賞を受賞した。2009年に続く2度目の大賞受賞となるもの。新人賞・資生堂奨励賞はアキコアオキの青木明子さんが選ばれた。また、鯨岡阿美子賞はアートディレクターの中條正義さん、話題賞はゾゾの「ゾゾスーツ」に決まった。
大賞に選ばれたトーガの古田さんは「9年ぶりにこちらに立たせていただきました。受賞理由の1つとしてトーガが20周年という功績も評価していただきましたが、東京で発表した後、すぐに新人賞をいただき、発表の場をパリに移した大賞をいただき、20周年を迎えた年に2回目の大賞に選ばれるなど、節目節目で評価していただき、大変嬉しく思っています。トーガを始めたときは1人でしたが、今はスタッフとともに毎シーズン新しい何か、一石を投じられるようなデザインは何かを考えてコレクションを作っています。トーガの服は今回話題賞に選ばれたゾゾスーツとは対局にあるかもしれませんが、これからも頭を固くせずにいたいと思いますし、一方で作るものは強くありたいと考えています」とあいさつ。
新人賞・資生堂奨励賞を受賞した青木さんは「ブランドをスタートして4年目。今ここに立てているのは普段から協力していただいている皆さんのおかげだと感じています。私は小さい頃からファッションが身近にあり、服を装うということは、ただ服を着るということではなく、人間の新しい時代を創りだしていく文化的なものとして価値があることだと信じて活動してきました。今回賞をいただいたことをきっかけとして、更に精進していきたいと思っています」と喜びを語った。
また、鯨岡阿美子賞に選ばれた中條さんは「受賞のお知らせがあった時には、なぜ私が賞をいただけるのかと戸惑いました。毎日新聞の方からいろいろとお話を聞いたのですが、それでも納得がいかなくて。ただ、ファッションかどうかはわかりませんが、40年間、アートディレクターとして花椿という雑誌をお手伝いしたことに対することかなとも思っています」とコメント。
「ゾゾスーツ」の開発も手がけたゾゾの伊藤正裕氏は「ゾゾスーツは、インターネットで服を買うときに一番問題になる、どのサイズを買えばいいのかという問題を解決するという素朴な問題を解決することから始まったものです。イメージとしては体温計のように一家に1本あって、身体を図って、服を買ってもらうということでした。それを追求した結果、不思議な形になってしまい、ハロウィンなどでも着てもらっていますが、あくまでも機能を重視したデザインであり、もっと新しい技術ができて、もっと使いやすいものができれば、どんどん新しいものを採用して以降と思っています。もっと簡単に計測出来るようにしたり、更に完成度を上げたりするなど、これからもどんどん進化させていきたい。また、身体を計測した後に、きれいに着ていただけるような服も用意しているので、服も試して欲しい」などと話した。
表彰式終了後には、ショー形式でコレクションを発表しなかった2019年春夏コレクションを中心に、アキコアオキのコレクションを紹介するファッションショーが行われた。
Text & Photo:Shinichi Higuchi(樋口真一)